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2022年11月18日
イトーヨーカドーで販売している『純銅手造りおろし器 薬味おろし付』は、どんな食材も軽い力でふわふわにおろせると評判です。
「一生もの」ともいわれるこのおろし器の秘密を探るべく、新潟県燕市の工場を訪ねました。
おろし器の表面には、全部で400以上の刃があります。手仕事が生み出すその技術で、職人の力加減により刃の角度や向きを一つひとつ微妙に変えて不揃いにすることが、このおろし器の強み。
大根おろしの味が、おろし器でこんなにも変わることを、初めて知りました。イトーヨーカドーで販売している純銅手造りおろし器でおろした大根おろしは、淡雪のようにふわふわで、口に含むと大根の甘みまで感じられる逸品です。
「繊維をすりつぶさず、擦り切るようにおろすので繊維質が残り、大根の水気を含んだまま、ふわふわのおろしに仕上がります。その秘密は、おろし金の刃の部分にあります」
そう語るのはおろし器を製造する新光金属株式bet365 入金 デビット カードの明道登実朗社長。
力を入れず、円を描くように擦るだけで、簡単に大根がおろせました。
「おろし金の刃は、すべてうちの職人の手仕事でつくっています。手仕事でなければできない技があり、その一つは刃の角度。かなり鋭角に目立てをしているので、食材の繊維を切り、軽い力で簡単におろすことができます。しかも機械製と異なり、この刃は微妙に不揃いなことがポイント。だから、おろす時に食材のさまざまな面が刃に当たり、どこを使っても軽くおろせます。前後左右、どのように動かしても、軽くストレスなくおろせますよ」
もともとこのおろし器は、先代社長が大根をおろすのに苦労している妻を見て、もっと楽にできないかと考えたのが開発のきっかけ。円形にして、おろしたものが下に落ちる今の形になるまで、約2年かかったそうです。
錫メッキを施した表面にたがねを当て、つちでトントン叩くと、中から銅本来の美しい色が顔を出します。
この仕事に就いて50年という
あぐら姿で、黙々と目立て作業に集中する渡邉さん。18歳でこの道に入り、現在69歳。約50年のキャリアを経て「この仕事は面白い」とひと言。
おろし器の表面は
使い込んだ作業台の上には、これも使い込んで手になじんだ道具の数々。目立てに使うのは「たがね」と「つち」。たがねの先は鋭利に研がれていますが、ここを研いで最適な刃を出す作業も、渡邉さんが行っています。銅板の表面にたがねを当て、つちで叩くと面白いように表面がめくれて、中から銅の色が出てきました。そのリズミカルなこと。トントントンと軽く叩くだけでおろし器の目が立ち上がり、次々に刃が生まれます。人の手の力で目立てができるのも、やわらかな銅の特徴です。
「もう体が覚えているからね。常に同じ角度、同じ力でたがねを打ち込むことができますよ」と渡邉さん。
渡邉さんの作業机には、「職人技」を生み出す、使い込まれた道具が並ぶ。
新光金属では彫金職人の技術をたやさないため、渡邉さんの技を受け継ぎ、若い彫金師も育成しています。工場ではこの仕事に就いて7年の志田光太郎さん(31歳)が、トントントンと目立ての作業に没頭していました。
明道社長によると、高度で多様な金属加工が集まるまち・燕市でも、この目立てができる人は数人しかいないとのこと。「これからも職人の手技を守ったものづくりをしていきます」と話してくれました。
真剣な眼差しの志田さん。若い力が確実に育っています。
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