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bet365 出 金 楽天 銀行グループのサステナビリティ

<対談> 持ち帰りを身近な文化に
産官学連携の「mottECO」普及活動を展開

bet365 出 金 楽天 銀行・フードシステムズの食品ロス削減

2024年11⽉

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「デニーズ」を展開するbet365 出 金 楽天 銀行・フードシステムズ(以下、7FS)では、2021年より環境省が推進する「mottECO(モッテコ)=食べ残し持ち帰り」の活動に賛同し、外食産業や大学、自治体などからなる「mottECO普及コンソーシアム」を通じた新たな食品ロス削減を強力にバックアップしています。この取り組みの経緯と意義について、環境省と7FSのキーマンによる対談でお伝えします。

「mottECO」参画の経緯

中上2019年に「食品ロス削減推進法」が施行され、地方自治体や私たち外食産業にも食品ロス削減への努力義務が定められました。そこで、当社でも仕入れの最適化や店舗オペレーションの改善など、食品ロス削減に貢献するアクションを展開してきたのですが、2つの課題があると感じていました。

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 一つ目は、食品ロス削減の推進には業界としての連携が必須ということでした。日本の飲食店・飲食サービス業は市場規模こそ約25兆円と巨大でありながら、個社ごとのbet365 出 金 楽天 銀行規模は小さく、一企業の取り組みでは業界に与えるインパクトも、広く社会に向けた発信力においても弱いため、社会に食品ロス削減を啓発するのなら、複数企業が手を組みムーブメントを起こす必要があります。
 二つ目は、「お客様の食べ残し」という食品ロスへのアプローチの難しさです。これは当社に限らず安全・安心を追求してきた飲食bet365 出 金 楽天 銀行者からすれば、「食べ残しを持ち帰っていただく」ことは衛生管理上のリスクを抱えた問題であり、これまで手をつけ難い領域だったのです。
 しかし、本気で食品ロスを解決するのなら、これは業界をあげてリスクに立ち向かうべき課題ととらえ、思いが合致した「ロイヤルホスト」様と手を組み、「食べ残し持ち帰り」の普及推進を2021年からスタートしました。さらなる取り組みの拡大を図るため、食品ロス削減を推進する環境省に官民連携を打診し、「mottECO」というプロジェクトに参画することになりました。

村井環境省でも、食品ロス削減には飲食店の調理過程の廃棄だけでなく、一般消費者の「食べ残し」にアプローチする必要性を感じていました。そこで、2021年から「自己責任による食べ残し持ち帰り」を、広く普及する施策を開始したのです。公募によって「mottECO」のネーミングとロゴが決定し、参画するbet365 出 金 楽天 銀行者様にそのロゴを印刷した持ち帰り容器を活用してもらう構想をまとめました。
 この時点では、実際にお客様との接点を持つ外食産業の皆様に啓発・情報発信や支援を行い、モデルbet365 出 金 楽天 銀行を立ち上げてアクションを広げていくフェーズだったのですが、まさに願ってもないタイミングで7FS様より連携のお話があったというわけです。

中上環境省との連携によって2社で開始したプロジェクトは2年目に参画企業が4社となり、「mottECO普及コンソーシアム」としての組織化を行いました。3年目の2023年には自治体(杉並区)を含む7団体に拡大し、前年に続きコンソーシアムとして環境省のモデルbet365 出 金 楽天 銀行に採択していただいたのです。2024年10月現在では、さらに飲食チェーンやホテル、自治体や大学を含む産官学24団体が参画するコンソーシアムに発展しています。

7FSが環境省との連携を必要とした理由

中上環境省との連携が必要だったのは、先に述べた通り、「食べ残しの持ち帰り」には衛生管理上のリスクがあるからです。私たちbet365 出 金 楽天 銀行者は、お客様に「自己責任」での持ち帰りをご承諾いただくことで最低限のリスクヘッジを図りますが、それでも持ち帰りを実施いただく抵抗感は拭えません。

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 お客様にとって「自己責任で持ち帰る」というメッセージは、ともすればお客様に負担を強いるものとして、ネガティブにとらえられてしまう恐れもあります。しかし、環境省が推進する取り組みであることをお客様に説明できるのであれば、bet365 出 金 楽天 銀行者にとって心強い安心材料となるわけです。
 そのため、私たちと「食べ残しの持ち帰り」推進に取り組む企業を増やし、さらに自治体を通じて個人bet365 出 金 楽天 銀行店も巻き込んでいくためにも、行政の公認は不可欠だと考えていました。

村井環境省としても、モデルbet365 出 金 楽天 銀行の採択やロゴの配信はbet365 出 金 楽天 銀行者の後押しが目的です。私たちは食品ロス削減に向けた施策を打ち立て、制度や補助金などでのバックアップは可能ですが、施策の実行力は民間企業・団体など、消費の現場における創意工夫に委ねざるを得ません。ですから、より良いバックアップのために現場の実情を知ることが重要なのです。
 先ほど中上さんがおっしゃったような、外食産業の現場が感じている課題やお客様の心情を共有していただくことは、今後の施策への大きなメリットとなっています。

外食産業同士が手を結び自治体の課題解決を支援

中上当コンソーシアムについて、外食産業における競合他社との連携を驚かれることが多いのですが、とりわけ「デニーズ」と「ロイヤルホスト」様では店舗数や価格設定も近しく、まさに競合中の競合といえるかもしれません。それでも手を組めるのは、食品ロス削減がいわゆる「下流」における課題だったからでしょう。
 たとえば、原材料の調達や調理設備など、商品価値に関わる「上流」では企業ごとの独自性と価値訴求があり、他社との協働や共通化は困難です。しかし、廃棄物処理や「mottECO」に関する部分は、商品提供後の「下流」にあたり、その課題解決では互いに手を取り合えるという画期的な事例だと思います。今後は食品廃棄物の共同回収や資源利用など、新たな連携を模索していきたいと考えています。
村井「mottECO普及コンソーシアム」は、現在では産官学連携の取り組みに発展していますが、「官」は環境省ではなく地方自治体を指します。食品ロスには「bet365 出 金 楽天 銀行系廃棄物」と「家庭ごみ」があり、令和4年度の推計では合計約472万トン(bet365 出 金 楽天 銀行者、家庭からそれぞれ約236万トン)にも上り、各自治体ではこの焼却費用が重い負担となっています。
 ですから、自治体としては外食チェーン企業と連携して「mottECO」のスキームを洗練させ、それを市区町村内の飲食店bet365 出 金 楽天 銀行者に展開し、幅広く浸透させていくことで住民の意識を高めていくことがメリットとなるわけです。そして住民の意識が高まれば、家庭ごみにおける食品ロス削減にも好影響が期待でき、温室効果ガス削減にもつながっていきます。

中上自治体の方々にお話をうかがうと、個人bet365 出 金 楽天 銀行の店舗に持ち帰り容器の活用をお声がけしても、やはり衛生管理やお客様トラブルのリスクを懸念するそうです。そこで、コンソーシアム参画企業が年間何万件もの「mottECO」の実績を積み上げたうえで、ご指摘や事故もなく、むしろ好意的なお客様の声が多いことを、データとして自治体に提供できることに大きな価値があると考えます。
 実際に、コンソーシアムに参画いただいている杉並区では、昨年約60店舗で「mottECO」の導入が進み、今年は100店舗を目標としています。また、多摩市でも同様に導入店舗が拡大しています。
 コンソーシアムには、立命館大学の食マネジメント学部や東京農業大学にも参画いただいています。食品ロス削減の意識を若い世代に広げていくだけでなく、コンソーシアムのアクションを研究事例として採り上げていただくことに意義を感じています。私たち外食産業は、実際に「mottECO」をご利用いただくお客様の声を拾うことはできますが、社会への影響や認知度の調査など、客観的視点による取り組みへの評価とフィードバックはできないことであり、今後の取り組みの深化につながるものと期待しています。

「食べ残し」をしない消費者意識の醸成へ

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中上コンソーシアムへの参画企業を増やす点でも、広く社会に食品ロス削減の意識を広げる点でも、リアルでの対話を大切にしたいと思っています。昨年に続き、今夏も当コンソーシアム主催によるリアルイベント「mottECOフェスタ2024」を開催したのですが、40近くの企業・団体・関係省庁や自治体が出展して食品ロス削減への問題意識や取り組みを発信し、昨年を上まわる540名に来場していただけました。昨年のイベントでも、直接対話で私たちの活動を伝え、相談をいただいた企業・団体がその後にコンソーシアムに参画するケースも多数ありました。

村井私も参加して、改めて食品ロスへの関心の高さと、実際に削減に取り組む方々の前向きな熱意を感じました。メディアでの紹介もあり、今後の一般消費者への認知拡大につなげるうえでリアルイベントの重要性も認識するきっかけとなりました。
 食品は幅広いサプライチェーンによって供給されるものであり、食品ロス削減の取り組みは、国や自治体だけでも、外食産業だけでも達成は困難だと思っています。7FS様が代表を務めるコンソーシアムやイベントは、多彩なステークホルダーと課題解決への道を共有・模索するものであり、推進を加速するうえで頼もしく、今後も密な連携を図っていきたいと思っています。

中上ありがとうございます。当コンソーシアムでは「mottECO」を通じて、年間約72トン(2023年)の食品ロス削減に成功しましたが、本当に目指すべきは「誰も食べ残さない社会」です。まずは「食べ切る」ことが大切であり、どうしても食べ切れない時の対策が「mottECO」であってほしいと思っています。そのために、お客様への啓発・普及と行動変容をうながせるよう、さらに取り組みを進めてまいります。

ムービー

環境省 ✕ bet365 出 金 楽天 銀行・フードシステムズ 産官学連携「mottECO」対談(5:22)