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自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく対応

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はじめに~私たちが目指す社会について~

当社グループは、衣食住、金融サービスなど、多様な顧客接点を有しており、国内約22,800店舗で1日2,220万人以上の方にご来店いただいています。お客様の生活の場があってこそ私たちの事業が成り立っており、地域社会が持続可能なものとなるよう、私たちが本業を通じて優先的に解決すべき社会課題を重点課題(※1)として特定し、サステナブル経営を推進していくことを「中期経営計画2021-2025(※2)」の中でコミットしています。


当社グループの重点課題の中でも、「自然資本・生物多様性への対応(3.地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する)」は、増加する自然災害をはじめとして、不安定になりつつある商品原材料の調達など、お客様の生活の場や地域社会を脅かす課題に対して、備え防ぐための取り組みと考えています。この重点課題の取り組みを加速するため、当社グループは、2019年5月に環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』(※3)を発出し、これを、2030年・2050年に目指すべき社会へのロードマップとして位置付けています。


環境宣言では、脱炭素社会、循環経済社会、自然共生社会の3つの社会への移行に向けて、「CO2排出量削減」、「プラスチック対策」、「食品ロス・食品リサイクル対策」、「持続可能な調達」の4分野にて中長期の目標を立て、グループ横断のイノベーションチームを結成し、取り組みを進めています。

TNFDに関しては、TNFDの理念に賛同し、2023年1月にTNFDフォーラム、2月 にSBTN Corporate Engagement Programに参画。2024年3月には、TNFD Adoptersへ登録し、TNFDの枠組みに基づいた分析・開示に着手しています。

bet365 入金グループ自然資本に関する方針の策定


2024年10月に、従来の自然資本・生物多様性に関する考え方・取り組みを再確認し、改めて当社グループがネイチャーポジティブ実現を目指すため積極的に取り組む姿勢を明確にする目的で、「bet365 入金グループ自然資本に関する方針」を策定しました。方針策定にあたっては、SBTs for Nature※1 で示されたAR3Tフレームワーク(「回避(Avoid)」「削減(Reduce)」「回復(Restore)・再生(Regenerate)」「変革(Transfom)」)を踏まえて、当社グループがネイチャーポジティブ実現に向けて取り組むステップをまとめました。

※1 SBTs for Nature: 科学に基づく自然関連目標設定。企業や都市が科学に基づいて自然関連目標を設定することを促すフレームワーク、技術的ガイダンスのこと。

「bet365 入金グループ自然資本に関する方針」に定める主な項目

1) 自然との関わりを把握するよう努めます

2) 自然の恵みを大切にし、自然に与えるネガティブな影響を回避・最小化します

3) 自然環境や生物多様性の回復・再生に貢献します

4) イノベーションを取り入れ、あらゆるステークホルダーと自然に貢献する価値を共創します

5) 透明性の高い、信頼される誠実な開示・報告に努めます

自然資本・生物多様性関連の情報開示について

 TNFDの理念に賛同し、2023年1月にTNFDフォーラム、2月 にSBTN Corporate Engagement Programに参画し、2024年3月には、TNFD Adoptersへ登録し、TNFDの枠組みに基づいた分析・開示を進めています。

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戦略(TNFD枠組に基づく評価の実施)

 当社グループは、サプライチェーン全体において直接的・間接的に自然資本を利用し影響を与えています。例えば、食品小売業は、サプライチェーン上流にあたる原材料調達を中心に、栽培のための豊かな水資源や花粉を運んでくれる昆虫など、さまざまな自然の恵みによって成り立っています。また、資源の過剰採取や農薬・肥料の過剰な投与は、自然にマイナスの影響を与えてしまう可能性もあります。自然の変化によって、原材料の調達・利用が困難になるなど、事業への影響も懸念されます。中長期的に事業を存続させるためには、事業と自然との関わりを把握・管理することで、事業における自然に対するマイナスの影響を最小限にし、また自然に配慮した事業活動を推進することで「自然損失を止め回復させる(ネイチャーポジティブ)」ことが重要です。
 当社グループでは、こうした自然への依存・影響、リスク・機会を認識してグループとして持続可能な調達・利用を推進することで、ネイチャーポジティブ実現に貢献していきます。そこで、当社グループの事業活動が生物多様性に与える影響を把握するため、自然関連の依存・影響、リスク・機会の評価を実施しました。

LEAP評価の実施

 当社グループにおける自然関連の依存・影響※1 、リスク・機会※2の評価を、TNFDが推奨する評価手法であるスコーピング、およびLEAPアプローチ※3に沿って実施しています。2024年度上半期では、Scoping(評価対象範囲の選定)としてbet365 入金グループ全事業会社(直接操業)と上流、下流のサプライチェーンを評価し、評価対象とする範囲を選定しました。次に、サプライチェーン上流の重要原材料を特定し、Locate (自然との接点の発見) 、Evaluate (依存と影響の診断)に焦点をあてて分析しました。

    • ※1  依存とは、組織が事業活動の中で、自然から恵み(生態系サービス)を享受していること。
       影響とは、組織が事業活動を通じ、自然に対して変化をもたらしていること。
    • ※2 自然関連リスクとは、自然への依存・影響に基づいて、組織にもたらされる潜在的財務影響上の脅威のこと。
       自然関連機会とは、組織が自然関連リスクを回避・削減したり、自然に対して良い影響を与えたりすることで得られる財務上の機会のこと。
    • ※3 LEAPアプローチは、TNFDが開発した自然との接点、自然との依存・自然への影響、それらに伴うリスク・機会など、自然関連課題を評価・管理するための統合的なアプローチ。

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Scoping(評価対象範囲の選定)

 まず、当社グループの全事業bet365 入金および、上流から下流まで関連するすべてのサプライチェーンを対象に、事業がどのように自然と関連しているかの調査を行いました。評価にあたっては、TNFDが推奨するツールであるENCORE※1を用いてその産業に一般的な依存・影響を抽出し、結果をスコア化※2して、依存・影響の二軸でマッピングしました。

 マッピングの結果から、ガソリン小売、不動産ディベロッパー事業の上流である「ガソリン採掘」や「建築・土木」の項目で自然への影響が大きいこと、食品関連事業の上流にあたる「農林水産物の生産」、特に「農産物の生産」で自然に高く依存していることが分かりました。

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 上記の自然への依存・影響が大きい事業の中でも、当社グループでは、中期経営計画において、2030年の目指すグループ像として「「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」と掲げていることから、2024年度の評価では「農産物」に焦点をあてました。

 さらに、農産物でもとりわけ、当社グループ全体で取扱量が多く、かつ自然への影響が指摘※3されている「コーヒー豆」「大豆」「米」を重要な原材料として選定し、これらについては原材料ごとに自然への依存・影響を評価しました。その結果、本年度は特に影響が大きいと特定された「コーヒー豆」について、さらに、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿ってより詳細な評価を実施することとしました。 「コーヒー豆」は森林リスク・コモディティ※4の1つであることからも、コーヒー豆の分析が必要と考えました。
 なお、コーヒー豆とともに重要な原材料として選定した「大豆」「米」についても、今後、自然への影響を低減するための取り組みを実施していくとともに、「食」を中心とする事業を展開するグループとして、「畜産物」「水産物」についても評価を拡張していく予定です。

    • ※1  UNEP-WCSCなどによって開発された、企業の自然への影響や依存度の大きさを把握するためのツール。
    • ※2  ENCOREの出力結果について、Very High=5, Hight=4, Medium=3, Low=2, Very Low=1 とし各プロセスの依存・影響ごとに合計を計算。
    • ※3  SBTs for Natureが公開する自然への影響が大きいとされる原材料リスト(High Impact Commodity List)の対象となっている。
    • ※4  世界資源研究所(WRI)が特定した、森林破壊の要因となるコモディティ。EUDR(欧州森林デューデリジェンス規制)の対象にもなっている。

スコーピング(Scoping)分析・評価した原材料

コーヒー豆 大豆 カカオ 鶏肉 牛肉 乳製品
豚肉 たまご 小麦粉 サトウキビ 野菜・果物 海苔/水産養殖 パーム油

※原材料の選定にはSBTs for Natureのハイリスク原材料リストと欧州森林破壊防止法(EUDR)対象リストを参照し、グループ事業bet365 入金の2023年度の調達実績を照合し選定。
※原材料のScoping分析にはENCORE※1を用いた。

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LEAP (1)Locate (自然との接点の発見)

 Locateフェーズでは、コーヒー豆を調達している「bet365 入金-イレブン・ジャパン」「7-Eleven, Inc.」とプライベート商品「bet365 入金プレミアム」の商品において、調達先国や地域を把握し、生物多様性との関連性を評価しました。
 評価にあたっては、TNFDが定義する5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、生態系の完全性の急激な劣化、生態系サービスの重要度、水ストレス)で整理しました。そこに調達割合も加味し、主要な調達先の中から優先地域を選定しました。

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LEAP (2)Evaluate(依存・影響の診断)

 Evaluateフェーズでは、Scopingフェーズで得られた評価結果をさらに深堀りし、コーヒー豆生産における一般的な依存・影響の項目を特定しました。その結果、農地への転用のための森林破壊や、地下水・地表水の使用に伴う水資源の減少、また農薬・肥料による土壌・水質の汚染といった影響が懸念されています。同時に、豊かな水を提供する自然の機能や、植物などが土壌を覆う・固めるなどで洪水や氾濫を抑える・地滑りを防ぐといった自然の機能に高く依存しています。地域ごとにみると、調達量の多い南アメリカは、特定された依存・影響によるリスクが高いと診断し、対応を優先すべき地域であると認識しました。また、コーヒー豆は「水」への依存度が高く、かつ「地表水と地下水汚染」への影響も懸念されており、水不足の度合の高い中央アメリカでは水に関する対応の優先度が高いと考えられます。
 今後は、(1)Locateと(2)Evaluateの結果を踏まえ、コーヒー豆に関連するリスク・機会を特定し大きさを評価(LEAP分析の(3)Assess)し、それを踏まえた対応策を検討(LEAP分析の(4)Prepare)していきます。

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コーヒー産地に対する取り組み事例紹介

bet365 入金ーイレブン・ジャパンでは、代表的な商品である「bet365 入金カフェ」の生産地の支援を実施しています。
支援内容は、それぞれの生産国が抱える課題を確認して決定しています。

ガバナンス

 当社グループでは、気候変動・自然資本などを含むサステナビリティの課題は、グループbet365 入金横断で取り組むべきものと考え、取締役会による監督とCSR統括委員会を中心とするガバナンス体制を構築しています。
 取締役会は、サステナビリティに関わる取り組みに関し、年1回以上、CSR統括委員会の事務局であるサステナビリティ推進部より報告を受け、進捗や目標の達成状況を監督し、適宜、方針・取り組みの見直しが行われます。
 CSR統括委員会は、bet365 入金HLDGS. 代表取締役社長を委員長として、7-Eleven,Inc.のCEOを含むグループ各社のCSR推進責任者(代表取締役社長など)とbet365 入金HLDGS.のサステナビリティ関連部署の責任者が委員として出席し、年2回開催しています。CSR統括委員会のもとには、気候変動・自然資本の問題などに対応するための下部組織として、環境部会を設置しています。

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リスク管理

当社および当社グループ各社では、経営環境およびリスク要因の変化を踏まえ、各事業におけるリスクを適正に分析・評価し、的確に対応するため、リスク管理の基本規程に基づき、リスクマネジメント委員会を中核とする統合的なリスク管理体制を構築・整備・運用しています。サステナビリティに関わるリスクについても、この統合的なリスク管理体制のもとで管理しています。
 リスクマネジメント委員会は、各リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析および対策について協議し、今後の方向性を定めています。また、こうしたリスク管理の状況を原則年1回、bet365 入金&アイHLDGS.取締役会に報告しています。
 近年は、当社グループの内部環境の変化に加えて、CO2排出規制、昨今の大型台風、商品原材料の生産地・漁場の変化などのサステナビリティに関わるリスクの高まりなど、外部環境のさまざまな変化による事業活動への影響が大きくなっています。2023年度は、これらの変化に対応するため、短期的なリスクだけでなく、中長期的なリスクも考慮に入れ、リスク管理の仕組みを見直しました。リスク評価プロセスにおいては、 リスクが顕在化した場合の業績に与える影響度の評価観点として、これまでの定量的な要素に、事業継続や当社グループのブランドイメージの毀損などの定性的な要素を追加することで、各種リスクの評価・分析の多角化・高度化を図っています。また、各種リスクを重要性、共通性などの観点から優先度の高いリスクを特定し、当社と当社グループ各社における役割と責任を明確化することで、グループ全体のリスク管理の実効性を高めています。
 7-Eleven, Inc.においても、bet365 入金グループのリスク管理のもと、サステナビリティのリスクを管理しています。

目標・指標

 当社グループでは、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』において、CO2排出量削減、食品リサイクル率、持続可能な調達などの目標を定め、その進捗を公開しています。