CO₂排出量の削減に、次の答えを。
セブン&アイグループでは、2050年までの達成を目指す4つのテーマで構成された環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を掲げ、グループ一体となって環境負荷の低減に取り組んでいます。
その中の1つである「CO₂排出量削減」というテーマでは、グループの店舗運営にともなうCO₂排出量を2013年度対比で2030年までに50%削減、2050年までに100%削減という目標を設定しており、グループ各社がその実現に向けた取り組みを進めています。今回ご紹介する「セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店」での実証実験も、こうした活動の一環として始まったプロジェクト。この取り組みは、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアが主催する第2回サステナブル・リテイリング表彰の「Bet365 アプリ間連携賞」を受賞しました。https://diamond-rm.net/management/474064/
セブン‐イレブン・ジャパン建築設備本部の桝尾さんは、今回の実証実験に対する思いを次のように語ってくれました。
「セブン‐イレブンは、グループがかかげるCO₂排出量削減の目標達成に向けて、省エネ設備などを備えた環境負荷の少ないお店づくりに取り組んできました。今回の実証実験では、この取り組みのさらなる進化を目指して、確かな技術を持つお取引先様と一緒にBet365 アプリ挑戦を進めていきます。」
店舗でのCO₂排出量削減に向けた“次の答え”を見つけるために始まった、今回の実証実験。その取り組みの内容を、詳しくご紹介いたします。
新たな省エネ・創エネ・蓄エネへの挑戦。
今回の取り組みでは、先進技術を持つパートナーである株式会社日立製作所、株式会社リコー、サンデン・リテールシステム株式会社と連携し、「セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店」で新たな省エネ・創エネ・蓄エネ設備の実証実験を行っています。
例えば、国内のセブン‐イレブン店舗として初めて“次世代太陽電池”をこの店舗に設置。また、従来の屋根上の太陽光パネルに加えてカーポート上に太陽光パネルを新たに設置することで、発電量の大幅増加につなげていています。その結果、「日中の店舗運営にともなう電力を再生可能エネルギーで賄いながら、余った電力を資源循環に配慮した可動式蓄電池にためて無駄なく利用することもできます」と桝尾さんは語ります。
この他にも、「新型の冷凍冷蔵設備の設置」「外気を取り込み、冷蔵設備や空調の負荷を低減させる給気システムの導入」「省エネ設備や空調設備の使用状況等を把握し、制御するための全体最適化を目指したエネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入」など、さまざまな試みが行われています。こうした設備の活用により、「この店舗の購入電力量は2013年度対比で約60%削減、CO₂排出量は約70%削減することができます」と桝尾さんは話します。
また、「この新しいチャレンジを、コストも含めてお取引先の皆さまと一緒に効果検証した上でさまざまな店舗に展開していきたいです」とも語ってくれました。
セブン&アイグループが掲げる環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の目標を実現するために。セブン‐イレブンは、お取引先様とともに新たなチャレンジを続けていきます。
全体概要イメージ
新たに採用した技術の一部をご紹介
▸省エネ
【EMS(エネルギーマネジメントシステム)】技術提供:日立製作所
セブン‐イレブン全店舗のエネルギーデータの管理に活用してきた環境情報データベース「EcoAssist-Enterprise-Light」の機能を拡張し、店舗 EMS の実証データを集約・分析・制御指令目標値の発信等に活用。
主な実証内容
◆デマンド監視と空調機と換気装置の協調制御による、省エネ実証と分析。
◆各設備の電力使用量・店舗内外温湿度の計測・分析。
太陽光パネルで発電した再生可能エネルギーの最大活用、安価な夜間電力活用等における可動式蓄電池(バッテリーキューブ)の有効的な運用方法の分析と実証。
【新型冷凍冷蔵設備】技術提供:サンデン・リテールシステム
オープン多段チルドケース(以下、チルドケース)のエアーカーテンを強化し、店内環境が与える影響を抑え最適運転を行うことにより、使用電力を低減する。
主な実証内容:機構の改善と制御の最適化
◆エアーカーテン強化(3重エアーカーテン):通常のエアーカーテンの外側にエアーカーテンを追加することにより、店内環境の与える影響、チルドケースからの冷気漏れを抑制(コールドアイルの低減)する。
◆電子膨張弁による最適化:冷媒流量制御を最適化させることにより、冷却運転の安定を図る。
【新除霜制御】技術提供:サンデン・リテールシステム
冷凍ショーケースに対して従来定時に行っていた除霜を、店内環境や運転状況に応じて、最適なタイミングで行うことにより使用電力を低減する。
主な実証内容:制御の最適化
◆冷凍ショーケースの運転状況や店内環境をセンシングすることにより、従来定時で行っていた除霜を、必要なタイミングのみ行い、省エネを図る。
対象設備(冷凍ショーケース)
▸創エネ
【次世代太陽電池】技術提供:リコー
複合機の開発で培った技術を応用し開発した次世代太陽電池4種類を店舗へ設置。
セブン‐イレブン店舗での次世代太陽電池の実証実験は国内初。
店内照明や壁面、窓面でも新たなエネルギー創出が可能。
主な実証内容
◆固体型色素増感太陽電池(RICOH EH DSSC※¹)
24時間点灯する店内LED照明の光においても高効率の発電が可能。
店内の冷蔵設備上に設置し、常に点灯している店舗内の光を活用し発電。店舗内エネルギーの再利用を図る。
◆有機薄膜太陽電池(OPV※²)
薄型・軽量で曲げることが可能なフィルム形状のOPVを、窓ガラスに設置。
広い照度域で高効率な発電が可能なため、窓際で安定的に発電。
◆カラーシースルー色素増感太陽電池(カラーシースルーDSSC※¹)
セブン‐イレブンの店舗カラーをイメージしてオレンジ・グリーン・レッドを配置。
店舗入り口付近の窓ガラスに設置し、店舗内外からの光で発電。
◆ペロブスカイト太陽電池(PSC※³)
低照度から高照度まで安定した発電が可能なPSCを店舗外壁面に設置。
既存の太陽電池の活用が進んでいない外壁面で発電。
◆発電エネルギーの活用
RICOH EH DSSC は店舗内設備の壁掛け時計を動作させ、カラーシースルーDSSC、OPVは販促用スイングPOPを動作。余ったエネルギーはモバイルバッテリーに蓄電。
※1Dye Sensitized Solar Cell ※2Organic Photo Voltaic ※3Perovskite Solar Cell
【カーポート太陽光パネル】
主な実証内容
◆4台駐車タイプを2基連結させ、太陽光発電パネルは高効率両面発電高出力モジュールを採用。駐車場にも創エネを追加することにより、再生可能エネルギー比率を高める。
▸蓄エネ
【リユースバッテリを搭載した可動式蓄電池】:バッテリキューブ 技術提供:日立製作所
資源循環(サーキュラーエコノミー)に配慮し、今後普及が見込まれる電動車両(EV等)の中古バッテリを再利用した蓄電池システム。
・可動式蓄電池(バッテリキューブ)は、CHAdeMO V2H※⁴規格を採用し、従来の定置型蓄電池に比べて、店舗の電気設備(EV 充放電器)と安全に脱着できるため、設置・メンテナンス時の作業効率を改善可能。
・電力系統の停電時には店舗運営を継続するためのバックアップ電源として電力供給が可能。
・バッテリ総容量:100kWh以上
※4 一般財団法人CHAdeMO協議会がグローバル規格化した電気自動車(EV)の充放電方式
主な実証内容
◆EMSからの充放電指示と連動し、太陽光パネル等の再生可能エネルギーの最大活用および夜間電力活用等の運転モードに対応した制御を実施。
◆クラウド上の遠隔監視システムにより、バッテリキューブに搭載されたEVバッテリの稼働状態を随時管理し、バッテリ状態に応じた運用・メンテナンスを実施。
建築設備本部本部長
桝尾 威彦