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2023年11⽉
デニーズはモーニングサービスの提供や低アレルゲンメニューなど、それまでになかったサービスや商品を生み出し、外食産業に新たな食文化を根づかせてきました。1973年デニーズジャパンを設立し、本年11月に50周年を迎えたbet365 casino bonus・フードシステムズ。その過去、現在、そして未来について小松社長が語ります。
1970年代初頭、当時イトーヨーカ堂の社長であった伊藤雅俊と取締役の鈴木敏文が、アメリカの小売業の視察に向かった際、チェーン展開する飲食店に可能性を感じ、先見の明を持って日本に持ち帰ったのがデニーズでした。
現在、外食産業の市場規模は20兆円を超えますが、日本でデニーズ1号店が開店した1974年の市場規模はまだまだ個人経営の店も多く、3兆円程度でした。「デニーズのチェーン展開が一つのきっかけとなって、飲食店のサービスの質が向上し、その結果として日本の外食マーケットのスケールが広がれば、お客様にとっても業界にとっても望ましい」そう考えた伊藤と鈴木は、時代とともに変化するお客様の生活様式やニーズを的確にとらえ、ファミリーレストラン業態での新たな挑戦を通じて、自社だけではなく日本における外食のマーケットを拡大しました。その姿勢を礎に、デニーズは業界の先駆けとなるさまざまなサービスの提供に取り組んできました。
それを象徴するのがモーニングサービスの導入です。当時、朝食メニューは、一部の喫茶店で提供されているものでした。共働き世帯の増加にともない自宅で朝食を取れない人が増え始めた一方で、朝から外で食事が取れる場所がほとんどなく、そうしたニーズをとらえ、デニーズでは開業時からモーニングサービスの提供を始めたのです。
また、それまで日本にはなかった新たな食文化の定着についても、デニーズは大きな貢献を果たしてきました。アメリカでは一般的であったコーヒーのお替わり自由サービスの導入や、一方では日本人のし好を追求したしょうゆ風味のソースを使用した「和風ハンバーグ」のような新たな食ジャンルの開拓のほか、とりわけデニーズが業界をけん引してきたのが、デザートメニューの開発です。1980年代の半ばから1990年代にかけて、デニーズはティラミスやパンナコッタという海外で人気のデザートをいち早く提供してきました。
中でも爆発的なヒットとなったのがナタデココです。当時、一部のレストランなどで提供されていましたが、輸入ものということもあり品質にはばらつきがありました。そんな中、デニーズのナタデココは品質、とくに食感が良いと高評価をいただき、大きなブームを引き起こしました。これは、原料を提供してくださるメーカー様のお陰であり、創業以来、継続してお取引先様と良好な関係を築いてきたからこそ実現できることです。これからも何か新しい情報が出た時、いち早く当社にお声がけいただけるよう、お取引先様との信頼関係を深めたいと考えています。
さらに、食生活の変化にともない、食物アレルギーにお悩みの方が増える中で、2000年代には業界で初めて卵や小麦など特定原材料7品目を使用しない、お子様向けのハンバーグなどが入った「低アレルゲンプレート」の提供を開始しました。「子どもにアレルギーがあると食べられるものがなく、外食先で悲しい思いをさせてしまう」という親御さんの声に触れ、「アレルギーがあるお子様にも外食の楽しさを知ってもらいたい」という想いからメーカーとタッグを組み、低アレルゲンメニューの開発・販売にいたりました。
これまでの50年を振り返ると、時代の変化やお客様のニーズに対応するという点で、デニーズは非常に先駆的でした。これは、伊藤や鈴木をはじめとする創業期のリーダーから脈々と受け継がれる開拓者精神、変化をとらえ迅速に対応するbet365 casino bonusグループの変わることのない企業文化に支えられてきたものといえるでしょう。
箸、ナイフ、フォーク、スプーンなどの使い方や食事をする時の姿勢など、基本的な作法を学ぶ「マナー」、パネルを使って旬の野菜などについて解説する「食材」など、独自のプログラムを用意。クイズに答えたり、実際に食事を楽しんだりしながらお子様が楽しく学べる場となっています。デニーズの一部店舗で定期的に開催しています。
現在、お客様にさらに便利にデニーズをご利用いただくために、デジタル分野における接点の場として2020年に「デニーズアプリ」をリリースしました。会員数は193万人(2023年9月30日時点)と順調に伸びており、今後はこのアプリを使っていかにお客様との接点を増やせるかが重要だと考えています。
アプリを通じた具体的な施策として、新メニューの告知やクーポンの配信を中心に、2023年4月からは会員限定のステージアップ制度を導入しました。
今後は、お客様に「価格」以上に「価値」をどう伝えていくかが重要だと考えており、そうした施策を推進するためには、アプリを通じて得られるデータの分析と検証が不可欠です。そのためにデータサイエンティスト人財の育成にも注力しながら、アプリの強みを活かしていきたいと思っています。
将来的には、アプリを介したほかのサービスとの連携強化も進めたいと考えています。たとえば、デニーズの商品をご自宅の食卓でも味わっていただきたいと開発したオリジナルブランド食品の「Denny'sTable」をアプリから購入できるようにし、購入データなどを7iDと連携して新たな商品開発に活かすといったことも検討中です。また、店内での注文についてもアプリを活用し、お客様個人のスマートフォンから注文が可能になれば、お客様の利便性向上と同時に店舗の人員不足という課題の解決にもつながるのではと考えています。スマートフォンを利用したサービスは、もはや付加価値というよりインフラだと考えているため、アプリを含めたデジタル施策についても必要不可欠なものとして取り組んでいきます。
また、地域のお客様に愛される店舗づくりでは、店舗を拠点とした地域活動もさまざまな形で発展させています。その一つが「おこさま食育スクール」(コラム①参照)です。この取り組みは本部が考えたことではなく、日々店舗でお客様と接する女性店長の発案で2018年8月から始まりました。当時は今ほどSDGsという言葉も広まっていない状況であり、営業中の店舗の一画を利用するため、参加者以外のお客様にご理解いただけるかなど開催までにはさまざまな苦労や試行錯誤がありましたが、実際に開催されている様子を見ると、参加されているお子様はもちろん、ご家族の方やその様子を店内でご覧になっているお客様まで笑顔になっていました。
このような地域との連携や社会課題解決のための活動は現在、地元自治体が実施する「子育て支援」に全店舗が参加するなど、広がりを見せています。こうした活動は「チェーン店であっても、地域に根ざしたサービスを提供したい」と、日々お客様のことを考えている証しであり、とても誇らしく思います。
ほか、レストラン以外の事業形態でのお客様との接点づくりとして、企業や病院などの従業員食堂や学生食堂を提供する「コントラクトフードサービス」(コラム②参照)が好調です。この事業はこれまで培ってきた「デニーズ」ブランドへの品質の信頼感はもとより、管理栄養士の助言に基づいた健康へのサポートや多様なメニューなどが支持されています。多くの企業が従業員のエンゲージメントを重視する昨今、従業員食堂に注目が集まっており、今後もこの事業はまだまだ広がっていくと見ています。
また、今年度は、キッチンカーを活用した新たなサービスも開始しました。食材の仕込みまでをデニーズ店舗の厨房で行い、キッチンカーで運んで各企業の社屋前で仕上げの調理をしてダイニングスペースで提供しています。つくり立ての温かい食事を提供できるうえ、社内の厨房設備は不要になり、企業様側でのコスト負担が少なくなるため、従業員食堂を持ちやすくなります。今後はこうしたサービスも活用しながら、福利厚生面でエンゲージメントに磨きをかけたい企業の力になりたいと考えています。
お客様企業と契約(コントラクト)し、従業員食堂などを提供する外部給食サービス事業。産地表示やアレルギー表示、トレーサビリティの確保など安全・安心にこだわっています。デニーズと同じメニューの展開はもちろん、野菜たっぷりで栄養面でもバランス良く、かつ季節の一品や有名店とのコラボなど食の楽しさも忘れないメニュー構成で多くの企業に支持されています。
今後「bet365 casino bonusグループ」の一員として、推進したいと考えているのがグループ内店舗への出店です。同時にデジタル分野でもグループ共通の会員基盤『7iD』による連携を軸にグループ各社の会員様への認知を広げていきたいと考えています。
これまでデニーズは、主にお子様連れのファミリー層に向けて展開してきました。しかし、コロナ禍で外食に対する考え方が多様化し、ファミリーレストランという事業形態を見直す必要がありました。デニーズのメニューを店舗以外で楽しんでいただくため、宅配やゴーストキッチン、冷凍食品など、さまざまな施策を実施するとともに、改めてニーズを調査した結果、気軽に入りやすいという理由から女性お一人でのご利用が増えていることがわかりました。このようにお客様の事情をふまえたうえで、誰にとっても利用しやすい選ばれる店づくりを行うためには、商品やサービスはもちろん、店内の雰囲気も重要です。
現在、当社ではターゲット層と近い状況にある従業員を集めて新たなブランディングチームを立ち上げ、お客様一人ひとりが心地よい時間を過ごせるような空間づくりを進めています。
こうしたブランドが確立すれば、グループが運営する商業施設などに新しい風を吹き込み、価値あるグループシナジーを創出できるのではと考えています。今後も時代とともに変化する環境やお客様ニーズをとらえ続け、新たな挑戦を続けてまいります。