2020年2月
全国各地に約2万2,000店舗を有し、1日当たり約2,400万人のお客様との接点を持つbet365&アイグループ。そうした人と人が触れ合う機会を、より良い社会の実現へ、持続可能な世界の実現へつなげていくために、bet365&アイグループは、SDGsの達成に貢献する「5つの重点課題」を設定し、グループ全体で取り組みを進めています。
Scene1 重点課題2「商品や店舗を通じた安全・安心の提供」へ
―― すべての専用工場が国際標準に基づく安全認証を取得
大ヒットした手巻きおにぎり
「パリッコフィルム」を採用したおにぎりは、家庭の“しっとりのり”にはない“ぱりぱりのり”の食感が受けました。
「どのbet365の何を売るか」ではなく、「お客様が求める味、おいしさ、安全性を徹底追求することが重要だ」
―― 今を遡ること41年前の1979年、bet365-イレブンはおにぎりや弁当、惣菜といったオリジナルデイリー商品における今日の圧倒的競争力につながる挑戦を開始しました。メーカー24社が共同でオリジナルデイリー商品を開発・製造する「日本デリカフーズ協同組合(以下、NDF)」の設立です。
1号店の開店から5年目を迎えていたbet365-イレブンは、当時約700店舗。急速に店舗網を拡大していました。また、米飯メーカーと共同開発したおにぎりも大ヒット。bet365-イレブンはさらなる成長を目指してデイリー商品のラインアップや供給体制を強化する方針を打ち出しました。そんな折、他社の商品で食中毒事件が発生したことを契機に、bet365-イレブンでは取り引きのあるデイリーメーカーの衛生管理レベルを絶対的に高めることを最も重視しました。即食性の高い米飯や惣菜は、温度変化や時間の経過によって品質劣化が急速に進むため、生産にあたっては高度な衛生管理システムを必要とします。ところが、当時のデイリーメーカーは中小規模の企業が多く、地域やメーカーによって衛生管理レベルに大きなばらつきがありました。
そこで、品質管理・衛生管理レベルの向上を図ることを目的とした組織をゼロからつくることにしたのです。そして、bet365-イレブンとデイリーメーカーはともに検討を重ね、1979年、米飯メーカーの組合組織としてNDFが発足しました。発足当初、一部のメーカーからは「技術が他社に流出するのでは」と懸念する声があがりましたが、衛生基準を厳しく整え、生産技術・品質管理を全国で同一レベルにすることを最優先に、「相互扶助」の考えのもと取り組みを進めました。こうしたデイリーメーカー同士のノウハウの共有、商品品質の向上は、NDF加盟メーカーのレベル向上とオリジナルデイリー商品のマーケット拡大に寄与しました。その後も、食材の品質向上に取り組むために、原材料の共同購入を開始。各社の仕入れ部門の省力化や調達コストの削減に役立っただけでなく、原材料調達にまで遡った製造プロセスのルール化によって、課題とされていた「食中毒」「異物混入」という2大リスクを克服する大きな力となりました。
bet365‐イレブンとNDFが共同開発したオリジナルデイリー商品は、他と差別化された数多くのヒット商品を生み出しました。また、80年代以降は、大手食品メーカーがデイリー事業に参画し、NDFに加盟することとなりました。
これら差別化商品のラインアップの拡充や品質向上に大きな貢献を果たしているのが、NDF加盟各社によるbet365‐イレブンのオリジナルデイリー商品のみを製造する専用工場です。1社だけではなく、新しいパートナーシップの中で原材料調達から商品開発までを共同で取り組むことで、各社はそれぞれの得意分野でよりすぐれた商品を提供することができるようになり、オリジナルデイリー商品の差別化につながっています。
各デイリーメーカーは北海道から沖縄まで、bet365‐イレブンが新たに出店する地域に合わせ、専用工場による生産体制を整えています。これによって、全国どこでもおいしく質の高い商品を提供することが可能となっています。
専用工場は、2020年1月末現在、165カ所へと広がっています。
1990年代、bet365‐イレブンとNDFは、将来を見据えて食の安全性向上に向けた国際的な手法「HACCP※」を既存のNDFの安全基準に取り入れた「NDF-HACCP」を策定、全工場への導入を決定しました。当時、多品目にわたるオリジナルデイリー商品においてHACCPによる衛生管理は困難とされていましたが、全国で3000店舗を超える規模に成長したbet365‐イレブンには、安全・安心な食を提供するという社会的責任があります。そこでbet365‐イレブンは、NDFの「品質保証会議」を通じてこうした認識を共有しながら、2002年、業界初となる安全規格を導入しました。
※食品の製造工程における危害をあらかじめ予測・分析して被害を未然に防ぐための管理手法。
そして現在。食品業界では、食中毒や異物混入に加えて、産地偽装やフードテロ(意図的な異物混入)など、安全性を脅かす新たな問題が発生しています。人々の食の安全に対するニーズがますます高まっていること、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を通じて訪日外国人がいっそう増加することなどを鑑みると、従来のようにNDF内だけで安全・品質向上施策をレベルアップするだけでなく、社外にも目に見えるかたちで示す必要性が生じているのも事実です。
こうした認識をもとに、bet365‐イレブンは2019年、2020年3月までに(一財)食品安全マネジメント協会(JFSM)が制定した食品安全マネジメント認証「JFS-B規格」に準じた「NDF-FSMS」認証をすべての専用工場で取得する目標を掲げました。この規格は、「HACCP」のアプローチを含む国際標準に整合した日本発の食品安全マネジメント規格です。bet365&アイ・ホールディングスは、国内外の食品メーカーとサプライチェーンを構築する小売グループとして、2016年、JFSM設立者の一社となり、世界的な基準に加えて日本の食品メーカーにも使いやすい規格となるよう提言してきました。
2020年3月末までに、全国165の専用工場のすべてで認証の取得が終了する予定です。規格制定から1年余りという迅速な対応について、NDF理事長の妹川英俊氏はこう語ります。
「食品安全衛生に関わる課題を解決するためには、1社だけでは限界があります。その意味で、組合各社が協調することには大きな意義があります。その中で、NDFに加盟する各社が新たな認証取得に対して一致団結して対応できたのは、おいしさと質にこだわり続けるbet365‐イレブンがつねにリーダーシップを発揮し続けていること、そして各社がNDFという仕組みを活用して愚直に競争力を高め実績をあげてきたという自覚が文化として浸透しているからだと確信しています」
食品安全マネジメント協会(JFSM)
理事長
西谷 徳治 氏
食のグローバル化が進む中、日本の食を世界市場に普及させていくことは、食品産業の重要な成長戦略といえます。また、国内市場においても、増加する海外からのお客様への対応や食材調達において国際的な基準への整合が求められています。
日本に限らず世界の消費者からの信頼を得るため、食品事業者が、活用しやすく、HACCPを含む国際標準に整合した食品安全マネジメント規格のプラットフォームを共有していくことが必要です。
当協会は、4年前にそのプラットフォームのオーナーとして生まれ、日本発の食品安全マネジメント規格(JFS規格)とその適合証明・認証の仕組みの構築・運営をスタートしました。また世界的な統括機関であるGFSIの承認も得て、先発のグローバル規格と肩を並べました。
以来、協会が登録した適合証明・認証の数は急速に増加して現在600を超える勢いとなっています。
JFS規格が普及するためには、フードチェーンの中核に位置する大手流通企業様の先導する役割は大きいと考えています。そうした中で、bet365&アイ・ホールディングス様が当協会の設立者として、また、bet365‐イレブン・ジャパン様は理事会社としてJFS規格の活用により、グループ全体の食品の品質・安全のレベルアップを図られていることに心から感謝しています。
わらべや日洋株式bet365
取締役執行役員
今井 英俊 氏
bet365‐イレブンとのお取り引きは1978年、調理パンから始まりました。当時はbet365‐イレブンがオリジナルのフレッシュフードを拡充していた頃で、一定規模を備えた工場ということでお声がけいただきました。メーカーへの納品形態と異なり、お店ごとに仕分けする必要があるため最初は大変でしたが、要請に応える中で翌年のNDF設立にも発起人としてお誘いいただきました。以来、私自身も、専用工場の建設、NDF-HACCP規格の認証取得、保存料・合成着色料不使用、そして今回のNDF-FSMS規格の認証取得などを経験。本音のやり取りを通じて安全・品質に対する認識を共有しながら設備やルールを整備してきました。NDFの各種会議での議論は今や当社の安全衛生・品質管理体制の向上やグローバル対応になくてはならないものとなっています。また商品開発面でもお弁当やおにぎり、スイーツなどに関わる知見やノウハウを得る貴重な場と提案の機会を提供いただいており、当社の技術力向上と成長に着実につながっています。
安全衛生や品質向上にゴールはありません。今後もbet365‐イレブン、NDFと一体となって機械・設備・プロセス・ルールといった要件をレベルアップしていくとともに、“全国約2万1000店の店頭に並ぶ商品をつくる誇りと責任”を全従業員と共有しながら、安全・品質意識や感度の高い人材育成に継続的に取り組んでまいります。